★フランチャイズチェーンに加盟を希望されている方へ

内容を理解せずにフランチャイズ契約にサインしてしまったら、手遅れになってしまう可能性が高くなります。

 

 

私が、フランチャイズチェーン加盟店の方々、あるいは、加盟店経営がどうにも立ち行かなくなり脱退した方々からご相談をお受けして、しばしば感じることは、「FC加盟契約を結ぶ前に、ご相談にいらしてくだされば…」という思いです。

 

どうして、私がこのような思いを抱くのかについては、以下に理由をご説明致しますが、少なくとも、FC加盟契約書に署名・押印してしまってから、当該フランチャイズシステムのレベルの低さに気づいても手遅れの場合が多いということだけは、お忘れにならないでください。

 

 

それでは、上記の理由をご説明致します。

 

フランチャイズシステムを利用した場合、本来ならば、事業者自らが開発しなければならないノウハウを、フランチャイザー(本部)に対価を支払うことで利用できるため、事業開始前に必要となる開発費等の先行投資や開発失敗のリスクを抑えられるというメリットがあります。

 

また、事業開始後も、本来であれば各事業者の投資とリスクで事業を発展させていかなければならないところ、例えばロイヤリティー等といった名目の対価をフランチャイザー(本部)に支払うことで、フランチャイジー(加盟店)は、上記の投資やリスク等を回避し、あるいは、減少させることができるといえます。

 

そのため、フランチャイズシステムは、いわゆる「脱サラ」をして生計を立てたいと考えている方、定年退職した後に事業を行いたいと考えている方、もともと個人として酒屋さんなどを経営しているけれども、より多くの商品を取り扱う店舗を経営したいと考えている方などが、効率よく一国一城の主となって、事業を開始・運営するのに優れたシステムであるといえるでしょう。

 

そして、私自身も、一般論としては、フランチャイズシステムを利用して、効率的に事業を行うこと自体、社会にとって有益なことであるともいえますし、否定するつもりはありません。

 

 

ですが、ここでご注意いただきたいことは、各加盟店のオーナー(加盟者)は、あくまでも本部とは独立した事業者であり、当該事業がうまくいかなかった場合の損失は、原則として、ご自身で負担しなければならないということです。

 

わかり易く言いますと、ご自身の貯金や退職金等を全て費やし、あるいは、高額の借金をして「設備投資」を行ったにもかかわらず、加盟したフランチャイズシステムが有効に機能しておらず、自己の店舗で利益をあげられない場合(このような場合、通常は、事業を継続することができず、閉店せざるを得なくなります。)には、「設備投資」等が無駄になってしまい、誰もその損失を補填してはくれないということです。

 

 

確かに、近時、フランチャイズチェーン加盟勧誘の際のフランチャイザー(本部)側の対応次第では、上記の出費等をフランチャイジー(加盟店)の損害として認め、フランチャイザー(本部)にその損害を賠償させる裁判例も散見されるようになってきました。

 

しかし、そのような裁判例とて、多くのフランチャイズ事件の中においては、まだまだごく一部のものであるといえるでしょうし、仮に、フランチャイジー(加盟店)側の言い分が認めれたとしても、通常の場合、その一部(しかも、全損害の半額以下)という場合が多いように思います。

 

 

これらの理論的、実務的な背景は、いずれページを改めてご説明致しますが、ここでは、とにかく、次のことをお忘れにならないでいただきたいと思います。

 

すなわち、当該フランチャイズチェーンに加盟したことで支出した費用(設備投資はもちろん、ランニングコストも含めて。)は、そのフランチャイズチェーンの実力がフランチャイザー(本部)の説明ほど高いものではなかったとしても、現実問題として、加盟店のオーナーご自身が負担させられる恐れが大きいということです。

 

 

他方、フランチャイザー(本部)は、自己のフランチャイズチェーンに少しでも多くの事業者を取り込みたいわけですから、その反面として、必ずしも、客観的、第三者的に公平・誠実な説明をするとは限りません。つまり、フランチャイジー(加盟店)が背負うリスクについて、充分な説明がなされないケースも多くあるということです。

 

そうであるとすると、フランチャイズチェーンへの加盟を決断するにあたっては、フランチャイザー(本部)の説明のみで判断するのではなく、フランチャイズシステムに関して知識を有し、かつ、利害関係のない中立な第三者に相談することが必要だと思います。

 

また、予めフランチャイザー(本部)に契約書等の雛形を交付させ、弁護士にその内容をチェックしてもらい、意見を聴くということも重要でしょう。

 

 

とはいえ、当該フランチャイズチェーンが優良であるか否かが完璧に分かるということはありません。当該フランチャイズチェーンに実際に加盟してみないと分からないことも多々ありますから(というよりも、通常は、加盟しないと分からないことの方が多いでしょう。)、絶対ということはありません。

 

ですが、少なくとも、調子のいいフランチャイザー(本部)の宣伝文句に惑わされる危険は大幅に減少するでしょうし、冷静な目で、当該フランチャイズチェーンを判断できる可能性は高まるでしょう。

 

また、経験のある弁護士、あるいは、法律事務所等では、当該業界に関する情報も多少は蓄積されているでしょうから、それらを参考にすることも可能かもしれません。

 

 

それでも、加盟の肯否を最終的に判断するのは事業者たるあなたご自身ですし、その結果の全てをご自身が引き受けなければなりません。

 

そうであるにもかかわらず、フランチャイズ契約書に記載されている内容すら理解せずに署名・押印されている方も多くいらっしゃるという事実は、非常に心配なことです。 

 

フランチャイズチェーンに加盟するということは、上記のようなメリットとともに、大きなリスク(デメリット)をともなう行為ですから、そのことをしっかりと理解した上で、FC加盟契約書に署名・押印されることが極めて重要だと思います。

 

 

弁護士 吉村 実(弁護士法人ポート)