★競業問題に関するご相談

 

競業問題のページでご指摘しましたとおり、フランチャイズ加盟者としての事業が上手くいっていない場合や、FC本部との信頼関係が維持できていない場合には、加盟者の競業に対する欲求が最大限に高まります。

 

私のもとには、東京都、埼玉県(川越市、熊谷市)に限らず、全国からフランチャイズ問題に関するご相談をいただいておりますが、その中でもご相談回数の多さで1~2位を争う問題が、この競業避止義務に関する問題だという印象をもっています。

 

統計を取っているわけではありませんので推測に過ぎませんが、少なくない加盟者が、フランチャイズビジネスにおいて十分な利益を得られず、あるいは、本部から十分な指導・援助を受けられていないという現実があるのでしょう。

 

競業問題に関するご相談をお受けするときには、そのフランチャイズチェーンの加盟契約書をご持参いただいて、競業避止義務の内容を確認するのですが、この数年で大分様変わりしている印象をもっています。

 

数年前でしたら、競業避止義務の内容としては、「加盟者に競業を認めない」という、文字通りの競業避止義務規定が多かったように思いますが、そのような内容にはある種の“抜け道”が存在し、実質的に競業避止義務を回避する手段もいくらか考えられました。

 

そのため、本部も条項の内容を変えてきたものと思われますが、このことは、反面、加盟者にとって、競業避止義務の認められる可能性(事実上も含めて)が低くなってきていることを意味します。

 

例えば、もともと禁止される事業はフランチャイズで行われている事業そのものだったところ、現在では、その事業のほか、「これに関連する事業」などといったように、禁止する事業の範囲を広く捉える傾向にあるようです。

 

ですから、フランチャイズチェーンに加盟する前には、加盟契約書の雛形を本部から取り付け、競業避止義務条項の内容をチェックするのは必須の作業といえます。

 

しかし、既に加盟してしまっている場合には、どうすればいいのでしょうか?

 

上記のような「競業」の範囲を広く捉える条項や、競業が禁止される「主体」を広げることについて、過度に広範(過重)な制約であるとして、公序良俗違反であるとか、信義則違反であるとか、権利濫用であるとか、一般条項を持ち出してその効力を否定するということも論理的には考え得るところです。

 

ただし、「その契約書」において、「その制約」が過度なのか過重なのかは、一つ一つ契約書の内容(条項)を確認して判断して行かなければなりませんので、安易に上記のように考えて行動するのは危険です。

 

また、論理的に考え得ることと、実際にその考えが通る可能性が高いということはイコールではありませんし、最終的には、裁判官の判断を待たなければなりません。

 

そういったことを考えますと、当該条項の内容(文言)を前提としても、なお、競業できるかどうかについては、慎重に吟味することが必要となりますが、その作業は法律家ではない一般の方にはおそらく難しい作業だと思います。

 

そのため、フランチャイズ加盟者がやむを得ず競業を検討するとしても(本来なら、そのフランチャイズチェーンで利益を出していくのが一番いいのですから。)、フランチャイズ問題に精通し、競業の成功事例等を知っている弁護士に相談しながら、競業の可能性を検討していくことが妥当だと考えています。

 

とはいえ、現実的には加盟者の競業が厳しい状況にあることはやはり否定できません。

 

他方で、加盟者とそのご家族には日々の生活があり、これからの人生があるのですから、事業者として生き残っていく手段を見つけ出さなければならないこともまた現実的な問題です。

 

残念ながら競業は難しいだろうという見通しの場合、私は、競業以外の方法で収入を得るための方法にはどのようなものがあるか、そういった部分にも踏み込んで、加盟者の方と一緒に検討することを心がけております。

 

事業者としての「経験」を「競業ではない形」で活かすことができれば、フランチャイズ契約に反することなく事業を営んでいけるわけですから、そのような考え方も一つの生き残り策と捉え、その事業者とご家族が路頭に迷わないで済むよう、できる限り知恵を振り絞っていきたいと考えています。

 

フランチャイズ問題、競業問題でお困りのときには、お気軽にご相談ください。お一人で悩まれているよりも、きっといいアイディアが生まれてくるはずです。

 

よろしければ、法律相談のページもご覧になってください。