利益を増加させるためには、①売上げを上げるか、②経費を節減するか、のいずれか(あるいは両方)を実現する必要があるわけですが、今回は、「FC店(加盟店)営業における②経費の節減」について触れてみようと思います。
例えば、小売店や飲食業等の業態で仕入れに関する経費を節減するためには、少しでも安く商品(原材料)を手に入れることが必要となりますが、このことは、FC店の営業と独立店の営業とで変わるところはありません。
他方、仕入れのルートについては、FC店と独立店との間で決定的に異なる部分があります。独立店の場合、自ら探した問屋さん等から安く仕入れることも可能なわけですが、これに対し、多くのフランチャイズ契約において、FC店は、フランチャイザー(本部)から仕入れることが要請されています。
その際、フランチャイザーは、フランチャイジーに卸す商品に利鞘を乗せて販売することが多いのですが(但し、このこと自体適法なのかという問題があり、裁判で争われることもしばしばあります。)、このことは反面、フランチャイジーの仕入れ経費を増加させ、利益を圧迫することを意味します。
フランチャイズチェーンにおけるこのような仕組み、あるいは、具体的な本部の上乗せ額(率)について、フランチャイザーはフランチャイジーの加盟前に説明をしていないことが多く、酷いときには、FC契約書に記載がないにもかかわらず、当然のように、フランチャイザーの利益を乗せた高額な費用(代金)をフランチャイジーに負担させていることがあります。
他方、フランチャイジーとしては、既に動き始めてしまったFC店であり、また、フランチャイザーと対等に渡り合う法的な知識もない等の理由から、フランチャイザーの言いなりになって高い仕入れを続けているケースが散見されますが、これでは利益の改善など望むべくもありません。
もちろん、フランチャイザーの利鞘について、事前にフランチャイザーから説明を受け、かつ、FC契約書にも明記されており、フランチャイジーもそれを理解した上で当該フランチャイズチェーンに加盟したのであれば、原則として、フランチャイジーはその契約に拘束されるといえます。
しかし、そうではないのであれば、フランチャイザーの利益の上乗せ額(率)を引き下げるよう、交渉してみる価値はあるといえます。但し、やみくもに申入れをしても跳ね返されてしまうだけでしょうから、事前に理論武装しておく必要があることはいうまでもありません。
そして、このような交渉においても、1店舗1店舗が各々個別に交渉するのではなく、以前このブログで書きましたように、同じフランチャイズチェーンの加盟店の方々と「加盟店会」を結成し、集団で交渉をする方が現実的な交渉になるのではないでしょうか。
今回は、フランチャイザー(本部)が利益を生み出し続けるための基本的な考え方について触れてみたいと思います。
今まで書いてきたブログを改めて読み返してみますと、あたかもフランチャイザーは悪者で、私がフランチャイザーを毛嫌いしているかのように見えてしまったかもしれません。
しかし、決してそんなことはなく、”フランチャイザーだから”という理由だけで、嫌ったり、非難したりしているつもりは全くありません。
ただ、フランチャイジーの力がフランチャイザーに比べて圧倒的に弱いという現状にあって、フランチャイジーへの情報提供を意識していましたら、偏った記述が多くなってしまったというわけです。
しかし、私の目指すところは、フランチャイザーとフランチャイジーの真の共存共栄ですから、フランチャイザー、フランチャイジー、どちらか一方だけに利益を得ていただきたいとは考えておりません。
フランチャイズシステムというのは、もともと技術や能力のない事業者(フランチャイジー)であっても、比較的容易に事業を始めることができるという意味では極めて画期的なシステムなのですから、フランチャイジーにとってとても価値がある仕組みだと考えています。
他方、フランチャイザーとしても、加盟店が増えることで自らのブランド価値を高めることができますし、他人の資本を利用して事業の拡大を図れるわけですから、フランチャイザーにとっても価値のある仕組みであることは、あえて指摘するまでもありません。
ただ、このようなフランチャイズシステムの価値を最大限に発揮するためには、フランチャイザーとフランチャイジーのどちらにも利益が公平に分配されるシステムであることが大前提になると考えています。
“ウイン・ウインの関係”がなければ、事業は長続きしないとよく言われますが、フランチャイズシステムにおいてもそれは同様です。
それどころか、むしろ、フランチャイズシステムというのは、むしろ、この“ウイン・ウインの関係”を重視しなければ成り立たない仕組みなのではないでしょうか。
ところが、一部のフランチャイザーによって、フランチャイズシステムが悪用されている現実があります。
また、意図的な悪用ではなかったとしても、フランチャイザーとしての能力を備えていない本部がフランチャイズシステムを始めたことによって、フランチャイジーが犠牲になってしまっているという現実があることも否定できません。
しかし、フランチャイザーがフランチャイジーを食い物にすれば、いずれはフランチャイジーからの反撃に遭って、身を滅ぼすことになるのは必然です。つまり、長い目でみれば、フランチャイザーにとっても決して得なことではないのです。
そうであるとするならば、フランチャイズシステムを主催するフランチャイザーは、決して自らの利益だけを考えるのではなく、フランチャイジーとの真の共存共栄を目指すシステムを構築していくべきなのではないでしょうか。そのことが、結局は回りまわって、自らの利益に資することはご理解いただけると思います。
もっとも、そのような考えがあるとしても、フランチャイザーの意思決定機関にフランチャイザー内部の人間しか関与していないとすれば、どうしても自己の利益偏重になってしまう恐れは否定できません。
そこで、フランチャイザーは、外部の専門家から継続的にアドバイスを受けるなどして、主催するフランチャイズシステムが自己の利益偏重に陥らないよう、常に意識をしておくことが重要です。
先週1週間、同僚の宮嶋弁護士が、アメリカ合衆国の弁護士(フランチャイズ事件を専門的に取り扱っている事務所)や連邦取引委員会(Federal Trade Commission=FTC)等を訪問し、意見交換を行って来ました。
アメリカでのフランチャイズ事情や訴訟の状況等の視察調査であり、帰国後、早速詳しい話を聴くことができました(具体的な内容につきましては、今後、事務所のHP等で宮嶋弁護士から直接お伝えする機会があると思います。)。
その中で、アメリカの弁護士がとりわけ強調していたのは、加盟店が本部と対等に渡り合うためには「加盟店会」を作ることだ、ということだったようです。
また、本部を相手にした裁判を行う場合にも、各加盟店が個別に行動するのではなく、出来る限り同じ立場の加盟店を集めて集団訴訟にすることが重要だ、ということだったようです。
日本においても、「加盟店対本部」という構図では、本部が圧倒的に優位に立っているというケースが多いですから、その圧力に加盟店が押し潰されてしまうことも少なくありません。
そのため、本部と対等に渡り合うためには、「加盟店会」や「加盟店組合」といった、加盟店同士の「横の繋がり」が重要であることは、我々も以前より実感しておりましたので、今回、フランチャイズ先進国であるアメリカの弁護士が強調していたということを聞いて、特に違和感を感じることはありませんでした。
というよりも、むしろ、「加盟店会」の重要性を再認識し、加盟店の利益保護の方策として、積極的にアドバイスしていく必要があるなと思いを改めた次第です。
フランチャイジー(加盟店)の方々は、まず、日ごろから、同じチェーンの他のフランチャイジー(加盟店)の方々と連絡をとるなどして、親交を深めておくといったことから始めてみるのがいいでしょう。
もし、そのような連絡をとる具体的な方法やきっかけがなく、横の繋がりを作れないといった場合には、我々弁護士にお気軽にご相談いただければと思います。
① フランチャイジー(加盟店)同士の「横の繋がり」を形成し
② 形成された横の繋がりを「組織化」し
③ 組織化された「加盟店会」等として、本部と対抗できる組織にしていく
といったことに関しては、フランチャイズ問題に取り組んできた今までの経験からも、ノウハウを有しておりますので。
今回は、弁護士業務に経営コンサルタントが含まれることについて触れてみたいと思います。弁護士の利用の仕方として、覚えておかれたらよろしいのではないでしょうか。
弁護士といいますと、一般には、法的なトラブルに直面した場合に初めて連絡を取り、相手方との交渉や裁判の対応を相談・依頼する、といったイメージが強いと思います。
それはそれで間違いではないのですが、ただ、弁護士の業務としては、そのような法的紛争の解決業務ばかりではなく、経営コンサルタントとしての業務も多く存在します。
(※但し、弁護士毎に取扱い業務は異なります。 )
かくいう私も、顧問先会社の社長さんやご担当者の方から日常的に経営相談をお受けしており、その経営相談業務に当てている時間は少なくありません。
また、以前、ある会社経営者の方が、倒産を考えて「破産」「民事再生」といった法的手続のご相談に飛び込みで来られたことがありました。
最初のご相談の際、決算書類の確認や、会社の経営状況の聴き取りなどを行ったところ、私は、その会社が自力で再建できる可能性を感じ取り、法的手続を採るのは最後の手段と考えて、まず、経営改善の方法をアドバイスしました。
ごく単純化してご説明しますと、この会社は、売上げに比して無駄な支出(経費)が多くなる原因に経営者の「甘さ」が目だったため、その「甘さ」さえ改善すれば法的手続を採る必要もなく、立ち直れる可能性があると考えたのでした。
そこで、私は、その「甘さ」をなくしていくための「仕組み」をアドバイスしたのでした( 精神論だけで何とかなるくらいなら、倒産寸前まで追い込まれることはありませんから。)。
この会社の経営者とはその後も継続相談を行い、結局、法的手続を採ることはなかったのですが、この時、私は、経営コンサルタント業務を行ったことになるわけです(もちろん、法的手続きのご説明は一通り行っておりますし、いつでも法的手続きを採る準備はしておりましたので、その意味では、一般の経営コンサルタントとは異なりますが。)。
今回は、弁護士が経営コンサルタントとしての活動をしていることについて触れてみました。
別の機会に、弁護士の経営コンサルタント業務というのは、一般の経営コンサルタントと何が違うのか?といったことについて触れてみたいと思います。
私の職業は弁護士ですから、コンサルタントの方々とは違って、何か問題が実際に起こってしまってから、ご相談をいただくケースの方が多いといえます。
しかし、弁護士とのかかわり方としては、むしろ問題が起こる前から、法律相談や経営相談を通じて信頼関係を構築し、フランチャイザー(本部)との対等な立場を実現することや、トラブルに巻き込まれないような対策をとっていくことが重要だと思います。
一つ例を挙げることとしましょう。
契約の更新時に、本部から一方的に不利益な内容への変更を求められて、その要求に従ってサインをしてしまった。
でも、後になって、その契約内容にはやはり納得がいかず、改めて本部と交渉するも、「既にサインしてるから」の一点張りで、加盟店の言い分には耳を傾けてくれない。
どうしたらいいのだろう…
といった感じで、ご相談にいらっしゃるケースはよくあります。
私が担当したフランチャイズ裁判の一つに、相手方たる某フランチャイザー(本部)が、複数の加盟店に対して、同時期に上記のような契約更新(本部が一方的に有利となる契約内容への変更)を求めた事件がありました。
このフランチャイズチェーンの加盟店のうち、本部の言いなりになることを嫌い、いち早く、私のところにご相談に来られた方々(日ごろからおつき合いがあった加盟店の方々)は、早々にこのチェーンを脱退して、自ら独立して事業を継続することで、不公平な契約に縛られるという不利益を回避することができました。
(但し、独立して同種営業を行うことは「競業避止義務」との関係で問題を孕んでおり、簡単なことではありませんので、ご注意ください。)
他方、弁護士に相談するということを全く行わずに、ご自身で頑張ってしまった方々は、最終的にはフランチャイザー(本部)の圧倒的な圧力に負けてしまい、今後、数年間、極めて不利な契約に拘束される結果となってしまいました(金額にして、おそらく、数百万円は余計な負担になるのではないかと思われます。)。
弁護士との相談といいますと、一般的には、何かトラブルに巻き込まれた後に行われるといったイメージが強いかもしれません。
しかし、このような事件を振り返ってみても、トラブルに巻き込まれる前に、日頃から継続的に相談したり、話をしていった方が、結果的には「安くあがる」といえるのではないでしょうか。
このような弁護士の利用方法は、ある意味、「健康診断」や「保険」に近いものだとお考えいただくと分かり易いでしょう。
健康を過信して病気が酷くなるまで放置し、後で痛い、苦しい治療を受けながら、高い医療費を自腹で支払うよりは、「健康診断」を事前に受けて問題がないことを確認しつつ、仮に、病気になったとしても、早期発見により、治療は軽く済み、医療費も高額にはなり難い。
このような構造に似ているといえます。
なにより、弁護士と日常的に付き合うことで、その弁護士がご自身に合うかどうか、あるいは、信頼に足りるかどうか等の見極めがつくと思いますし、ご自身の希望に合わなければ、他の弁護士を探すといった余裕もあります。
ところが、実際にトラブルに巻き込まれた後に弁護士を探そうと思っても、おそらく、時間的、精神的な余裕はあまりないというのが通常でしょうから、最初に相談した弁護士に、なんとなく事件処理を依頼してしまうということが多くなってしまうでしょう。
そして、何より、実際にトラブルに巻き込まれてしまった場合に必要となる弁護士費用は、恐らく、ご自身が想像されているよりも高額であると思います(インターネット上で、各事務所の弁護士費用が表示されていると思いますので、一度、参考までに確認してみるのもお勧めです。)。
いずれにしても、個人で事業をされている方々や企業を経営されている方々は、今、何も問題が起こっていないとしても、弁護士と付き合っておいて損はないと思います。
弁護士にとっても、「紛争予防法務」は、近時、重要な仕事の一つになってきています
東京高等裁判所平成21年12月25日判決 平成21年(ネ)第1043号
「まいどおおきに食堂」の加盟勧誘等に関する上記東京高裁判決が確定しました(最高裁判所による上告棄却及び上告不受理決定)。
このフランチャイズチェーンを展開しているフジオフードシステムと、加盟店勧誘業務を委託されていたベンチャーリンク(現C&Iホールディングス)に対しては、第1次~第4次に分かれて集団訴訟が提起されていますが、上記判決は、その第1次訴訟の判決です。
請求の内容を簡単にご説明しますと、「加盟勧誘時に事実とは異なる説明がなされたため、フランチャイジーが適切な判断をすることができずに加盟して損害を被った。それゆえ、その損害を賠償しろ。」というものと、「本部が、加盟店に対して行わなければならない経営指導義務に違反した。それゆえ、そのことから発生した損害を賠償しろ。」というものです。
つまり、フランチャイザー側の欺まん的顧客誘引(実際よりも優良なフランチャイズチェーンであるかのように宣伝して、フランチャイジーを集める手法。なお、上記判決では、それを超えて「詐欺的行為」とまで認定されている。)と、本部の指導援助義務違反に関する裁判です。
現時点では、残念ながら、フランチャイズ紛争に関する裁判官の理解がまだまだ足りていないという印象があります。そのため、実質的な議論に踏み込むことをせず、形式的な判断でフランチャイザー(本部)を簡単に勝たせる判決が多くみられます。
(それゆえ、裁判に持ち込まずに示談交渉で勝負をつけることが必要となるケースも多くありますが、このテーマは別の機会に譲ります。)
そして、上記裁判の第1陣訴訟東京地裁判決についても同様であり、結論において、フランチャイジー(原告)は敗訴しました。
ところが、その後、原告側が控訴し、東京高裁で審理がなされたのですが、ここでは実質的な内容に相当踏み込んで事案を検討され、結果、東京地裁判決が変更され、フランチャイジーの主張の主要部分を認めた画期的な判決が出されたというわけです(それが、一番上に事件番号を記載した判決です。)。
そして、この判決に対しては、フジオフード側から最高裁判所に上告及び上告受理の申立てがなされたのですが、約2年半の時間をかけて慎重に吟味され、上記の東京高裁判決に間違いはないと最高裁が判断しました。
私自身も、この裁判の第3次訴訟弁護団の担当弁護士として活動している立場上、また、力の弱いフランチャイジー(加盟店)側に立って弁護活動する機会が多いという職務上、このようなフランチャイズ問題の実態に踏み込んだ判決はとても歓迎ですし、今後も、これに続く判決が出ることを期待しています。
去る平成24年5月29日、フランチャイズの問題に関する現役裁判官の講演会に参加してきました。霞ヶ関にある弁護士会館の17階、日弁連の講堂で行われたものです。
現役の裁判官がフランチャイズ問題をテーマに講演されることは、私の記憶する限りあまり例がなく、とても貴重な機会でした。そのためか、参加者の中には、我々フランチャイジー(加盟店)側の弁護士だけでなく、フランチャイザー(本部)側の弁護士も複数見られました。
講師を務められた判事もおっしゃっていましたが、一般的な裁判官は、フランチャイズチェーンやフランチャイズ契約というものについて、まだまだ十分に検討をされていない、というのが実情のようです。ただ、このことは、特に驚くようなことでもなく、日ごろの裁判を通じて私たち弁護士も感じていたことでもありましたので、今回、改めて認識させられたといったところでしょうか。
このような現実はとても残念なことなのですが、そのことをただ嘆いていてもしょうがありません。裁判官のフランチャイズに関する認識が足りていないのであれば、我々はそのことを前提とした訴訟活動(主張・立証)を行っていく必要があります。
この講演会には、弁護士法人ポート法律事務所から4名の弁護士が参加したのですが、事務所への帰り途、フランチャイズチェーン(とりわけ、フランチャイジー)の実情をどのようにしたら裁判官に理解してもらえるのだろうか、という内容で議論が白熱したことは当然の成り行きでした。
ご無沙汰してしまって、すみません。
先日まで、約3年続いたフランチャイズ裁判の最終準備書面の起案(作成)にかかりっきりであったため、なかなかブログを更新できませんでした。
この最終準備書面といいますのは、裁判の最後に、当事者の主張・立証の総括を行う書面でして、その裁判で提出されている訴訟記録(資料)を改めて精査し、言い分をまとめ直すものです。
日本の裁判の場合、おそらく全体の7割程度は、裁判の中で「和解」という形で解決しますから、最終準備書面の提出にまで至らないケースが多いのですが、この裁判では和解ではなく、判決を受けることになりましたので、最終準備書面を提出しました。
今回のブログは、ロイヤリティの記事の続きを書こうと思っていたのですが、フランチャイズ裁判について触れるいい機会ですので、このまま少し続けます。
この裁判で、私は、原告(会社)であるフランチャイジーの代理人を務めています。
守秘義務があるため具体的な内容は記載できませんが、大雑把にいいますと、飲食店のフランチャイズチェーンにおいて、本部の債務不履行と不法行為(優越的地位の濫用)を理由として、損害賠償請求をしているものです。
この裁判のポイントの1つとして、原告が現在もフランチャイジーとして営業しているため、被告たるフランチャイザーからは当然のように報復措置が採られ、契約解除を通告されたということがあげられます(もちろん、本部は「報復」ではないといっておりますが…)。
そのため、こちらから最初に提起した上記損害賠償請求訴訟のほかにも、後から、契約解除が無効であることを理由に、フランチャイジーとしての地位確認訴訟を提起することとなり、裁判が長期化、複雑化したわけです。
現役のフランチャイジーが、フランチャイザーを相手に訴訟を提起した場合に、報復措置として、フランチャイザーから契約を解除するといわれることは、私の経験上、少なくないように思います。
もちろん、フランチャイザーとしては、訴訟を提起したフランチャイジーについて、裁判とは別の理由を持ち出して契約解除を通告し、「裁判は関係がない」などと異口同音にいいますが、どうみても報復だろうというケースを少なからず経験しています。
そして、上記の裁判の原告代表者(依頼者)にも、私が相談に乗った当初からその危険は指摘しましたが、どうしても本部のことが許せないということで、提訴に踏み切ったという経緯がありました。
(ちなみに、この裁判は、それ以外にも難しい論点があり、私のところに来る前に3人ほど別の弁護士に相談をして断られている事案なので、最初から難しい闘いになることは、私はもちろん、原告代表者も予想はしておりました。)
弁護士としては、ご本人にリスクを十分説明した上で、それでも闘いたいとおっしゃる以上は、全力でお手伝いすることがその役割だと考えておりますから、この件のように、難しい裁判になることを承知の上で、事件を引き受けることも少なくありません。
ただ、本音を言えば、フランチャイザーと裁判までしなくてはならないほど関係がこじれる前に、早い段階でご相談にいらしていただく方が、間違いなく、ご本人の利益になります。
裁判には、上記のような、大きなリスクのほか、労力、ストレス、そして、費用がかかりますから、避けられるなら避けた方がいいことは言うまでもありません。
フランチャイジーにとっては、フランチャイザーとの関係を極力悪化させずに、しかし、自己の権利・利益を護るためには言うべきことを言う、という姿勢が極めて重要です。
もっとも、具体的な言い方(内容を含めて)は、自己流ではなく、法的知識とフランチャイズに関する専門性を有した弁護士に相談しながら考えた方が、無難なことは間違いありません。
フランチャイザーとの関係を維持しつつ、フランチャイジーの権利・利益を保護するためにどうすべきかということは、フランチャイジーにとって重要なテーマですので、いずれこのブログで取り上げることにします。