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本年最後の宇宙法研究部会でした。

 

毎年、このぐらいの時期になりますと、「ついこの間お正月の挨拶をしたばかりなのに、もう年末かぁ・・・」などと、いつも同じことを言っているような気がします。

 

といいますか、言っています(^_^;)

 

今年も、例外ではなく、あっという間に1年が駆け抜けていきました。そして、本日は、宇宙法研究部会の本年最後の開催日となりました。

 

宇宙法研究部会は、基本的には午前10時スタートで行われているのですが、本日は午後5時スタートでした。本来なら1年の締めくくりとして、部会が終わった後にそのまま忘年会に直行という流れになるため、本年も12月の部会は午後5時スタートの予定となっていたわけですが、昨今の社会情勢に鑑みまして、無理は禁物ですから、忘年会は残念ながら中止ということになってしまいました。

 

とはいえ、本年最後の宇宙法研究部会を締めくくるにふさわしい、部会員からの調査報告が本日も行われました。その内容を皆さまにお伝えしたいと思います。

 

本日メインの調査報告は「宇宙資源法に関連する覚書」というタイトルで行われました。宇宙資源に関しましては、宇宙法研究部会においても、過去に何度か各会員からの調査報告が行われています。宇宙資源に関するルールの設定は、宇宙に関する問題の中でも最も重要なテーマの1つといえますので、我が宇宙法研究部会においても、切り口を変えて、繰り返しこの問題が取り上げられています。

 

 

世界中の各国、あるいは、様々な企業等が、近時、宇宙に活動拠点を求めている理由の一つは、宇宙空間から取得できる資源を利用したいという考えがあるからです。ただ、宇宙空間から取得した資源については、その所有権等の権利関係に関し、世界中の国が遵守すべき統一的なルールが定められておりませんので、各国の法律を基準として権利関係が整理されている現状があります。例えば、日本の企業が宇宙空間において資源を獲得した場合に、その企業が当該宇宙資源の所有権を主張する根拠として日本法を拠り所とする、といった具合です。

 

この点、我が国においては、本年6月15日に「宇宙資源法」が成立しましたが(12月23日施行)、同法第5条において「(宇宙資源について)その所有権を取得する」と定められておりますので、今後、日本企業等は、同法同条項を根拠として、採掘した宇宙資源の所有権を主張できるという解釈が紹介されました(※)。

(※ ただし、現時点における一つの解釈に過ぎません。今後、同法の解釈の再検討や国際条約の整備等によって、このような解釈が正しくないと判断される可能性はあり得ますので、この点は注意が必要かと思います。)

 

いずれにしましても、宇宙資源は皆が欲するものですので、過度な「早い者勝ち」にならないように、どの国にも、どの企業にも、公平な権利取得に関する国際的なルール設定が望まれるところです。

 

また、本日は「宇宙飛行士になるためには」というタイトルでの調査報告も行われました。この報告では、JAXAでの選考方法や訓練について具体的な内容が報告されました。船外活動等に従事するための物理的な条件(身長、視力、聴力等)や、協調性・リーダーシップを備えているという人といった求められる人物像等が紹介されました。

 

宇宙空間に出て行くための、ロケット打上げの際にかかる重力は4Gから6Gあるとのことで、肉体的な負担が極めて大きいようですから、宇宙飛行士になるためには、そのような負担に耐えられる肉体的、精神的条件を満たすことが大前提となるのですね。

 

当然のことですが、誰でも宇宙飛行士になれるということではありませんが、それでも、近時、プロフェッショナルの宇宙飛行士以外にも、一般の方々が宇宙空間に少しずつ旅立っておられます。夢が膨らむ時代が到来しつつあると、個人的には考えています。

 

 

本年の宇宙法研究部会は本日が最終日ですが、また来年もこのブログで適宜ご報告をさせていただきます。

 

皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。

本年もありがとうございました。