本日は、宇宙法研究部会が行われました。
最近、このブログの内容が宇宙法研究部会ネタばかりになっておりますので、もしかしますと、私のことを“宇宙法専門弁護士”と誤解されてしまうかもしれません(笑)。ですがそのようなことは決してなく、離婚や不貞慰謝料請求等の男女問題、相続・遺産分割、交通事故などの個人の方が巻き込まれやすい事件を多数担当しております。また、近時は建築紛争も複数ご依頼いただいており、示談交渉や裁判の対応をしております。
他方でビジネスの分野では、中小企業の取引や経営に関するご相談、取締役の解任に関する紛争、そして、何よりフランチャイズ事件についても、相変わらず全国からご相談、ご依頼をいただいております。特にフランチャイジー(加盟店オーナー様)からの顧問契約の申込みが増えており、加盟店経営にまつわる問題やフランチャイザー(本部)との対応の仕方などに関してアドバイスをさせていただいております。
フランチャイジーは、知識、経験や組織力等の差から、フランチャイザーと対等な関係を維持していくことが容易ではありません。そこで、日々の経営の中で本部の対応に納得がいかない、あるいは、ちょっと気になることがあるなどといったときに、気軽に相談をできる顧問弁護士をもちたいといった加盟店オーナーの方のニーズが増えてきているように思います。フランチャイジーの方で、このようなご要望をおもちの方は、お気軽にご相談ください。
それから、前回のブログでもちょっと触れましたが、“親子に関連する法”の本の執筆も順調に進んでおります。私と石垣美帆弁護士とで担当している学校問題(いじめ、体罰の問題)の分野は、近時改めてクローズアップされている問題ですが、子どもの人権保護の観点からも蔑ろにできない分野ですので、様々な文献や裁判例等を調査して鋭意執筆作業にあたっております。発刊までには、まだしばらく時間がかかりそうですが、今後、適宜このブログでもご報告をさせていただきます。
さて、話が逸れてしまいました。話題を宇宙法研究部会に戻しましょう。本日も、いつもどおり、部会員による調査報告が行われましたが、その一つは保険に関するものでした。宇宙ビジネスは、まだまだ未知の部分が多いといえますから、ビジネスの過程において、事故が起こる可能性も小さいとはいえません。
そこで、こういった事故に備えて保険が必要になってくるわけです。もっとも、宇宙ビジネスでは、一度事故が起こってしまった場合の損害金が高額になるなどの特性があり、一般的に売られている保険をそのまま利用することは難しいようですから、宇宙ビジネスには宇宙ビジネス用に作られた特別の保険商品が用意されるということでした。一口に“保険”といいましても色々あるわけですね。
そして、本日メインの調査報告では、宇宙ビジネスに関する「投資協定・投資協定仲裁」がテーマとして取り上げられました。ここで「仲裁」といいますのは、ざっくりいいますと裁判に似たようなもので、国家の裁判所ではないですが、それと同様の機能を有する「仲裁人」に紛争解決を委ねる紛争解決の方法をいうとのことです。
宇宙ビジネスも「ビジネス」である以上、そこには複数の利害関係人(国)が関わるわけですが、ミッションを遂行する過程において利害衝突が生じることも珍しくはありません。そういった場合には、中立・公平な第三者に間に入ってもらい、問題を解決してもらうのが合理的です。ただ、国内企業の経済活動とは異なり、宇宙ビジネスの場合には利害関係人が国際的なメンバーであることも多いですから、各国の国内裁判所に問題解決を依頼することは現実的ではありません。そこで、こういった「仲裁人」の存在が必要になるわけです。
ところで、宇宙ビジネスでは、多額の費用が必要となるケースも多いですから、投資家の関与も当然必要になってきます。そして、投資家が安心して投資できるようにするためには、投資家の保護も考えていかなければなりません。そこで、「投資協定・投資協定仲裁」を結び、投資を受け入れる国が外国の投資家にひどい仕打ち(例えば、外国の投資家の財産の国有化・収用をすることや、外国の投資家が事業を継続し難くするなどの嫌がらせ行為など 。)をした場合に、その投資家がその国を相手方とする「仲裁」を提起できるようにしておくことが必要になるとのことでした。
宇宙ビジネスに限りませんが、利害関係者が増えれば増えるほど、トラブルが起こる可能性も増えるといえます。それだからこそ、トラブルの解決方法がしっかりとできていなければ、関係者は安心してビジネスに参加することができません。もっとも、そのトラブルの解決方法は、そのビジネスの内容や参加者の国籍、ビジネスが行われる場所などの諸要素によって適切な仕組みが変わってくるものであり、必ずしも「裁判」である必要はないということですね。そのような観点からも、宇宙ビジネスに関しては「仲裁」を利用することが適切であるということを学ばせていただきました。