近頃はすっかり日が短くなり、朝晩の気温は低くなってきました。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
季節の変わり目ですので、体調を崩さないように注意して過ごしていきたいですね。
さて、本日の宇宙法研究部会ですが、さまざまな議題が盛り込まれました。もちろん、後述しますとおり、本日も部会員の先生方による充実した調査報告は行われましたが、その前にいくつかの議題が取り上げられましたので、まずはそのご報告からとなります。
まず一つ目です。
先日このブログでもお伝えしましたが、来月行われる宇宙法セミナーについて、参加人数の中間報告がありました。
現状200名近い方からお問合せがあるとのことで、当日はもっと多くの皆さんの参加が見込まれます。当日登壇する部会員の先生方も気合が入るでしょうから、充実したセミナーになると期待しています。
まだまだお申込みは間に合います。リンク先のチラシに登録方法の記載がありますので、遠慮なくご参加いただければと思います。
次に、忘年会実施の話がありました。
忘年会の話?ブログで取り上げるの?と思われた方もいらっしゃると思います。
実は、宇宙法研究部会の忘年会は、例の流行り病以降、この数年中止されていました。つまり、忘年会は日常が戻ってきたことの、ちょっとしたエピソードなわけですが、なんだか少し嬉しくて、ついブログに書いてしまいました。
さて、本日の部会のメインとなります。
部会員による調査報告のテーマは「日米宇宙協力に関する枠組協定の概要」と「宇宙刑事」でした。「宇宙刑事」といいますと、特撮ヒーローものを想像してしまいますが(笑)、後述しますとおり、重要な法的課題に関する報告でした。
まず、「日米宇宙協力に関する枠組協定の概要」について。
宇宙開発の分野でも重要なパートナーである米国との間で、2023年1月13日、林外務大臣(当時)とブリンケン米国国務長官の署名で枠組協定が締結されましたが、締結に至る経緯やその具体的な内容の説明がなされました。
宇宙開発については、まだまだルールが定まっていない分野が多く残されており、このような形で少しずつルール化が図られています。国際間の協力といいますのは、それぞれの国の利害が複雑に絡み合っていますので、「阿吽の呼吸」みたいなもので調整が図れるということはほとんど考えられません。
ですので、合理的、建設的な宇宙開発を進めるためにも、国際間のルール作りが必要になるわけですが、この枠組協定もその一つとして、今後、存在価値を高めていくものと思われます。
次に「宇宙刑事」では、宇宙空間において刑事事件が発生した場合の考え方について報告がなされました。
過日、ISS(国際宇宙ステーション)に滞在中の宇宙飛行士が刑事事件を起こしたのではないかというニュースが報じられましたが、人間が活動する領域では、残念ながら、犯罪が起こる可能性を否定できません。今後、宇宙空間がもっと身近なものとなり、宇宙飛行士以外の一般の人々が宇宙空間に滞在できるようになれば、なお更その可能性は高くなるでしょう。
しかし、宇宙空間は「国」としての線引きがありませんので、基本的に国単位で制定・運用されている刑事法の適用は、そのままではできません。そこで、こういった場合の対応の仕方が問題となってきます。
この点、国際宇宙基地協力協定第22条1項では、米国や日本は自国の乗組員に対する刑事裁判権を有することとされていますので、上記ISSでの問題については、この条項に従って、米国の法律に基づいて手続きが進められました。しかし、この条約に加盟していない国や、宇宙基地以外の宇宙空間での問題に関しては、この条項には規程がありませんので、そういった場合の対応を含めて、今後、取り決めていかなければならないルールが沢山残されています。
そして、こういう課題が残されているからこそ、我々「第一東京弁護士会 総合法律研究所 宇宙法研究部会」の存在意義があるわけですし、その名に恥じないように、今後も検討すべき課題に取り組んでいきたいと考えています。
本日の宇宙法研究部会は盛り沢山の内容でしたので、このブログも少々長くなってしまいました。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。