お久しぶりです。
暑い日が続いていますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
弁護士という仕事は、オフィスでデスクワークをしている時間もかなりあるのですが、裁判所で裁判に対応したり、相手方(代理人弁護士)の事務所等で協議をしたりすることなどもよくありますので、そのときには物理的に外出して移動しなければなりません。
日によっては倒れそうになるくらいの直射日光に晒されて、汗だくになって目的地にたどり着くといったこともありますので、私自身、熱中症などには十分気を付けて過ごしております。
皆さまも、どうぞ御体調など崩されませんように、早め早めの対策を取りながらお過ごし頂ければと存じます。
さて、本日は、宇宙法研究部会の開催日でした。
幸い熱中症とは無関係の環境で、オフィスからWeb会議システムでの参加となったのですが、部会はいつもどおり“暑い”、ではなく、“熱い”時間となりました。
本日の部会員による調査報告のテーマは、「宇宙天気」に関するものと、「地球外知的生命体」に関するものでした。
まず「宇宙天気」ですが、「宇宙天気」という言葉自体、初めて耳にされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。「宇宙天気」といいますのは、「太陽の表面活動による宇宙環境の変動」とされているようです。
太陽はその活動中、例えば、エックス線や紫外線等(人間にとっての)有害物質やプラズマ等を随時放出しています。そして、太陽の活動が変化した場合、有害物質等の放出量が増大して、地球にまでその悪影響が及ぶことがあります。
かつて、磁気嵐が地上の通信線に火災を惹き起したり、大規模な停電につながったこともあったとのことでした。また、現代社会の重要なインフラとなっている人工衛星に対する悪影響等も見過ごすことはできません。衛星本体の表面異常帯電や測位に誤差を生じさせること等も大きな問題になっているとのことでした。
このような問題が起こってしまうことを完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、それでも、被害が最小限度になるように事前に対策を取る必要がありますから、近時、「宇宙天気予報」のニーズが高まっているようです。
そして、そのニーズの高まりを受けて、米国は、2015年10月、「国家宇宙天気戦略・行動計画」を発表したとのことでした。この分野でも米国は世界の最先端を走っているようですが、我が国も「2021年6月29日付宇宙基本計画工程表重点事項」において、「・・・電離圏や磁気圏、太陽活動を観測、分析し、24時間365日の有人運用による宇宙的予報を実施する。・・・」等といった記載をしているようですので、この分野における我が国の今後の活躍が期待されます。
そして、次のテーマは「地球外知的生命体」でした。このテーマは、繰り返し映画や物語の題材としても取り上げられ、子どもの頃から親しみのある内容でしたので、いつもとは違った感覚で調査報告を聴くことができました。
「地球外知的生命体」については、そもそもそのようなものが存在するのかといった議論から始まるわけですが、一般的にはその存在可能性自体は肯定するものとして、関係各所による探索が進められているようです。
しかし、探索に関するルール形成はまだ完了しておらず、仮に「地球外知的生命体」と出会った場合、「地球外知的生命体」に対して人間の行動原理である法規範の適用ができるのかといった議論も残されているとのことでした。
確かに、例えば、「地球外知的生命体」から攻撃を受けそうになり反撃をしましたといった場合、人間同士に対して適用される法規をそのまま「地球外知的生命体」に適用することが適切なのか否か、判断が難しいところです。つまるところ、「地球外知的生命体」が我々人間と同種の存在なのか、人間以外の動物等に近い存在なのかによって判断が分かれてくるようにも思われますが、果たして「地球外知的生命体」を人間だとか、動物だとか、と簡単に区別できるのかどうかも定かではありません。
このテーマは、純粋に法規範を作ることや法規範の解釈の問題とは少し次元が異なり、私にとっては頭の体操にもなりまして、楽しい時間を共有させていただきました。
宇宙法研究部会では、調査報告を担当する部会員が、当該テーマに関連する情報の詳細なリサーチを行い、そこで得られた新たな知見を部会員と共有してくれます。日々の情報の蓄積が、宇宙法に関わる弁護士の力となり、ひいては、依頼者の利益になるものと信じて、私自身、今後も宇宙法研究部会の活動に参加していくつもりです。