交通事故は、誰もが巻き込まれる危険のある問題です。自動車やオートバイ等を運転していなくても、ただ普通に道を歩いているだけで、交通事故に巻き込まれてしまう可能性は常にあります。
しかし、だからといって、頻繁に交通事故に巻き込まれる人は少数派であり、多くの人は、ある時、突然、初めて巻き込まれてしまうことになるのでしょう。
そして、大抵の場合、加害者の加入している保険会社の担当者から連絡がきて、その担当者が窓口になり、補償についての交渉が行われることになると思います。
そのとき、多くの被害者は、生まれて初めて体験する出来事に戸惑いながらも、手馴れた感じで話を進めていく保険会社の担当者のペースに乗せられ、その担当者が提示した示談金額が適正な額であるのか否かを検証することもできないまま示談に応じてしまいます。
しかし、そもそも保険会社というのは、保険料を可能な限り徴収する一方で、保険金の支払いを抑えれば抑えるほど利益の出る企業なのですから、最初から本来支払うべき最大限の示談金(保険金)を提示するはずはありません。
そして、実際、保険会社は、我々弁護士が裁判等の際に利用する基準よりも大幅に低額な独自の基準によって示談金(保険金)の計算をし、その額を提示してくるのが通常です。
言い方を変えますと、同じ事故、同じ怪我を前提としても、保険会社の担当者が提示する示談金額は、我々弁護士が間に入って計算し、被害者のために請求する金額よりも、通常は低い金額になるということです。
確かに、事故の内容によっては、保険会社が提示する示談金額と弁護士が計算(請求)する示談金額とで、それほど開きがない場合もあります。
しかし、多くの場合、数十万円~数百万円にも及ぶ差が生じるといえますから、少なくとも、ご自身の事故について適正な示談金額がどのくらいであるのか、その計算だけでも弁護士に依頼してみるといいのではないかと思います。
弁護士 吉村 実