<② 相続分の問題>~どのくらい相続できるの?~

Q;相続分はどうやって決まるのですか?【法定相続分】
A;遺言が有る場合は、遺言に従って決まります(但し、無制限ではありません。)。遺言がない場合は、「法定相続分」によって決まります(900条~902条)。

 

Q;「法定相続分」の具体的な割合は、どのようになりますか?【法定相続分】
A;相続人が配偶者のみの場合は、その配偶者が全ての遺産を相続します。
 次に、相続人が配偶者と子である場合、配偶者が遺産の2分の1を相続し、残りの2分の1を子の頭数で割ることになります。例えば、子が2人の場合は、それぞれの子は4分の1ずつ相続することになります。
 また、相続人が配偶者と直系尊属(親など)の場合、配偶者が遺産の3分の2を相続し、残りの3分の1を直系尊属の頭数で割ることになります。例えば、両親が共同相続人の場合は、それぞれ6分の1ずつを相続することになります。
 さらに、相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者が遺産の4分の3を相続し、残りの4分の1を兄弟姉妹の頭数で割ることになります。例えば、兄弟2人が共同相続人の場合は、それぞれ8分の1ずつを相続することになります。

 

Q;養子の相続分も、子の相続分と同じですか?【法定相続分】
A;養子は、「子」と同じ立場ですから、相続分も同じです。
 
Q;婚外子の相続分も、子(嫡出子)と同じですか?【法定相続分】
A;結論の是非はともかく、婚外子の相続分は、子(嫡出子)の半分であると民法(900条4号)に規定されています。

 

Q;相続すると借金も引き継がなくてはならないのですか?【法定相続分】【単純承認】
A;相続すると借金も引き継がなければなりません。相続は、亡くなった人(被相続人)の全財産を全て引き継ぐ制度なので、原則として、借金も引き継ぎます。これを「単純承認」といいます。

 

Q;どのような場合にも「単純承認」をしなくてはならないのでは、相続人が予期しない損害を被るのではないのですか?【法定相続分】【限定承認】
A;そのような事態を回避するため、限定承認という制度があります。

 

Q;「限定承認」について詳しく教えてください。【法定相続分】【限定承認】
A;限定承認は、相続財産の中でもプラスの財産の範囲で借金などのマイナスの財産を支払う責任がある、反対にいうと、マイナスの財産がどんなに大きくても、相続財産(プラスの財産)の範囲以上に責任を負わない(弁済を強制されない)という相続方法です。

 限定承認は、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか分からない場合などに利用されます。

 

Q;「限定承認」のデメリットはなんですか?【法定相続分】【限定承認】
A;限定承認は、共同相続人の全員が一致してしなければなりません。したがって、共同相続人の一部の人が反対していたり、連絡がつかないなど場合には限定承認することはできません。

 また、相続が始まったことを知ってから3か月以内に、財産目録を調製して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨の申述をしなければならず、3か月を過ぎてしまうと、原則として、限定承認をすることはできなくなります。

 さらに、相続財産の管理と精算手続きを要するため、申立後の手続きが複雑なこと等もデメリットとして挙げられます。

 

Q;それでは、相続人は、被相続人(亡くなった人)がどんなに大きな借金をしていても、それを相続して返済していかなければならないのですか?【法定相続分】【相続放棄】
A;被相続人(亡くなった人)が明らかに債務超過に陥っているような場合には、相続放棄をすることで借金を引き継がないことができます。

 

Q;「相続放棄」について、もう少し詳しく教えてください。【法定相続分】【相続放棄】
A;相続放棄は、相続による権利・義務の承継を一切拒否するものです。相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったということになり、遺産を一切相続しないことになります。

 この相続放棄は、限定承認と異なり、共同相続人全員でする必要がなく、その一部の人だけでもすることが可能です。

 

Q;「相続放棄」のデメリットはなんですか?【法定相続分】【相続放棄】
A;相続放棄は、相続が始まったことを知ってから、原則として、3か月以内に家庭裁判所に相続放棄をする旨の申述をしなければいけません。

 また、上述のように、遺産を一切相続しないことになりますから、仮に、プラスの財産がマイナスの財産を上回っていても、その財産を取得することができなくなります。そして、一度相続放棄をしてしまうと、それを撤回して改めて相続するということはできなくなります。

 

Q;共同相続人の一人が、被相続人(亡くなった人)から、生前、財産の贈与を受けていたような場合も、残った財産を法定相続分に従って共同相続人間で分配するだけなのですか?【法定相続分】【特別受益】
A;共同相続人が受けた贈与が「特別受益」にあたる場合には、その贈与された財産の分が相続分から差し引かれます。

 

Q;「特別受益」とは何ですか?詳しく教えてください。【法定相続分】【特別受益】
A;特別受益とは、共同相続人のうちの一部の人が生前贈与や遺贈を受けた場合に、他の共同相続人との不公平を是正するため、その受けた財産の分を相続分から差し引く制度です。生前贈与のうち、婚姻や養子縁組、あるいは生計の資本として贈与を受けていた場合や遺贈(内容に関わりなく全ての遺贈が対象となります。)を受けていた場合に、その者の相続分が減じられます。

 

Q;私は、亡くなった夫(被相続人)の面倒を一人で看ていたのですが、他の相続人と同様、法定相続分しか相続できないのですか?【法定相続分】【寄与分】
A;「寄与分」が認められる場合には、法定相続分以上の財産を相続します。

 

Q;「寄与分」とは何ですか?詳しく教えて下さい。【法定相続分】【寄与分】
A;「寄与分」は、ⅰ被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、ⅱ被相続人の療養看護、ⅲその他の方法によってなされた特別の寄与であって、これらの行為により、被相続人の財産の維持または増加がもたらされた場合に認められる取り分です。
 ただし、寄与分はどんなに被相続人の財産の維持または増加に寄与した人がいても、その人が相続人でない限り認められません。  

 

Q;私は、法定相続人(子)なのですが、亡くなった父が、私ではない他の共同相続人に遺産の全てを相続させる旨の遺言を作成していました。私は、一切遺産を受け取ることはできないのですか?【法定相続分】【遺留分】
A;「遺留分」については、受け取ることができます。

 

Q;「遺留分」とは何ですか?詳しく教えてください。【法定相続分】【遺留分】
A;遺留分とは、被相続財産のうち相続人に残さなければならない割合のもので、被相続人が遺贈等をしても相続人が保留できるものです。ただし、この遺留分を請求できるのは、兄弟姉妹以外の相続人です(兄弟姉妹には遺留分がありません。)。

 

Q;「遺留分」の割合はどのようなものですか?【法定相続分】【遺留分】
A;遺留分の相続財産に対する割合は、父母などの直系尊属のみが相続人であるときは3分の1、それ以外の場合は2分の1です。この割合のものを全相続人が相続分に従って分割したものが、相続人個人の遺留分となります。

 

Q;「遺留分」を算定するにあたり、基礎となる財産はどのようなものが含まれるのですか?【法定相続分】【遺留分】
A;被相続人(亡くなった人)が死亡した際に残した財産の価額に、贈与した財産の価額を加え、この価額から債務の全額を控除したものです。
 この贈与した財産は、被相続人の死亡前1年間にしたもの、贈与当事者の双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って行ったもの、相続人の中に婚姻・養子縁組のため、もしくは、生計の資本として贈与を受けたものがあるときはその受けたもの、とされています。

 

Q;「遺留分」が侵害された場合には、どうすればいいのですか?【法定相続分】【遺留分減殺請求】
A;相続人が遺留分を侵害された場合、遺留分権利者は、遺留分を侵害している者に対して「遺留分減殺請求」を行うことができます。

 その請求の方法は、口頭その他どのような方法でもよいのですが、後になって通知を受けていないなどのトラブルを防止するために、内容証明郵便を利用するのが通常です。

 なお、遺留分減殺請求の段階では、その内容(例えば、遺贈された銀行預金の額等)を必ずしも特定して明示する必要はありません。
 
Q;「遺留分減殺請求」はいつまでもできるのですか?【法定相続分】【遺留分減殺請求】
A;遺留分減殺請求権は、相続開始及び遺留分を侵害されたことを知ったときから1年、または、相続開始時から10年以内で行使しなければなりません。

 

 

弁護士吉村実(弁護士法人ポート法律事務所)