今回は、加盟するフランチャイズチェーンの選び方について触れてみたいと思います。
フランチャイズチェーンの加盟者としてビジネスを始めようと考えた時、一番最初にぶつかる問題は、「どうやってチェーン(FC本部)を選ぶか?」ということでしょう。
加盟チェーン選びの要素(理由)は、業種、初期費用等などの諸条件といったことも大きいとは思いますが、最終的な決め手として、
“本部が有名な企業だから”
“上場企業だから”
といった企業イメージで選ばれる場合も少なくありません。
確かに、企業イメージというのは、一朝一夕で作り上げられるものではありませんし、一つの目安になり得ることも否定しません。私自身も、日常生活の様々な場面(例えば、何かを買うとき等。)では、企業イメージで商品を選ぶといったこともよくありますし、多くの場合、それで問題はありません。
しかし、加盟するフランチャイズチェーンを選ぶときに、企業イメージに頼ることはお勧めできません。
私は、弁護士として、多くの企業を相手にフランチャイズ問題の交渉や裁判を担当しておりますが、その経験から申し上げますと、およそ一般的な企業イメージとはほど遠い企業も少なからず存在しているということです。
日常生活の買い物の際、企業イメージで買い物をして仮に失敗しても、“屋台骨”が崩れてしまうほどの経済的なダメージを負うことはありません。
しかし、フランチャイズチェーンのへ加盟は、それが失敗した場合、下手をすれば破産しなければならないほどの経済的な窮地に立たされる可能性があります。
そうであれば、「企業イメージ」などといった曖昧な要素で加盟するフランチャイズチェーンを選ぶのではなく、そのチェーン(本部)が、具体的にどのようなシステム、内容等によって運営されているのかを十分に吟味した上で、加盟するチェーンを決めるべきだと思います。
ブログというものの性質上、ここで具体的なチェーンを挙げて指摘することはできませんが、チェーン選びの際、このような視点をもっておかれるだけでも、失敗する可能性を低くできるのではないでしょうか。
最後に繰り返しますが、くれぐれも、「企業イメージ」を過大評価しないようにしましょう。
「事業者」と「消費者」の違いを、あなたの言葉でいいですから説明してみてください。
突然、何のこと?と思われるかも知れませんが、フランチャイジー(加盟店)の方から相談を受けていて、フランチャイザー(本部)の食い物にされてしまっている方の多くは、事業者と消費者の区別さえついていないことが多いという印象があります。
酷いときには、「フランチャイズ契約をクーリングオフしたい」などとおっしゃる方もいますからビックリします。
ところが、そのおかしな点を指摘すると「わたしは、法律の専門家ではないから…」などとおっしゃるのですが、ちょっとキツイ言い方をしますと、この程度のことがわからないなら、フランチャイジーになろうなどとは考えない方が無難です。
せめて、法律の専門家を側において、アドバイスを受けながら事業を進めるべきでしょう。
私個人は、フランチャイジーには実質的に消費者や労働者としての側面があると考えていますし、いざ、フランチャイジー側の代理人として、フランチャイザーを相手に裁判で闘う場合にも、そのような主張を行うことが頻繁にあります。
しかし、裁判官の多くは、フランチャイジーが事業者であるという形式論を前提に判断するのが現状だといえますから、消費者や労働者と同等の保護を期待することはできません。
このような現実を踏まえて考えますと、法律や契約についてしっかり勉強して、フランチャイジーの意義を含めてフランチャイズ契約というものを理解するか、あるいは、法律の専門家のアドバイスを受けながら加盟を検討し、事業を進めていく必要があるわけです。
フランチャイザーに食い物にされて、多額の損害を負わされてからこのことに気づいても、「時すでに遅し」です。貴重な財産を守り、生活を守るためにも、理論武装、知識武装を行うか、助っ人を雇うことが重要だと思います。
今日は、少々法的な話をしましたが、もし、この内容がよくわからないということであれば、なおさらということです。