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今年最初かつ今年度最後の宇宙法研究部会でした。

こんにちは。

 

長いタイトルとなりました今回のブログですが、タイトルのとおり、今年になって最初の宇宙法研究部会≒ブログとなります。

 

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

もともとこのブログは宇宙法研究部会以外の「弁護士吉村実の日常」をあれこれ書いていくつもりで始めたものですが、近時は専ら宇宙法研究部会の報告ブログとなっています。

今後も、折を見て、宇宙法分野以外の弁護士業務についても触れていきたいと考えていますが、本日はいつもどおり(?)宇宙法研究部会の充実した活動内容をご報告いたします。

 

本日の部会で行われた最初の調査報告は「スターダストプログラムの概要」というタイトルで行われました。

「スターダストプログラム」というのは「宇宙開発利用加速化戦略プログラム」の略称です。

宇宙政策全体を俯瞰し、戦略的に取り組むべきプロジェクトを特定して、関係各省庁の連携や産学のようなプレイヤーの参画の下で技術開発に取り組んでいくことを目的としているとのことでした。

 

宇宙開発においては、あらゆる分野においてそのニーズが見込まれ、開発の進展が期待されているわけですが、それぞれの分野で個別的に開発するよりも、各分野の技術を結集し、発展させていくことが合理的であるといえます。

そして、経済成長のみならず、安全保障の観点等からも、関係各省庁が縦割りを打破し、連携して取り組むことが必要であるというコンセンサスの下、「スターダストプログラム」が進められているとのことでした。

 

縦割り行政にメリットがないということではありませんが、どうしてもデメリットの大きさが注目されてしまいます。

宇宙開発という新しい分野において「縦割り行政」を打破し、国が発展していく上で、より合理的な仕組みが構築されるのであれば、宇宙開発における技術の発展と同時に、国家の仕組み自体が、より向上するのかもしれないなぁ、などと思いながら調査報告を拝聴しておりました。

 

そして、次に行われた調査報告は「宇宙ビジネスとファイナンス」をテーマにしたものでした。

報告を担当された先生は、「アセットファイナンス」をご専門にされているとのことで、今回はこの視点から宇宙ビジネスとのかかわりをご説明いただきました。

 

そもそも「アセットファイナンス」という言葉自体が、その分野で活動されていない方には???となるかもしれません。

私自身も普段の弁護士業務で扱っている分野ではありませんので、ごく一般的な知識しかありませんが、つまるところ、不動産を担保とした融資が典型例であるように、企業が保有する資産を使った融資・資金調達に関することを「アセットファイナンス」といい、企業の信用力を背景とした「コーポレートファイナンス」の対概念であると理解しています。

 

宇宙ビジネスでは、地上におけるビジネスとは異なる桁違いのコストが必要になる場合があることも容易に想像できます。そして、そのコストを埋めるための資金集めをどのようにしていくのかということは既存のビジネスと同様の問題として浮上してきます。

 

そのような中、エクイティファイナンスやメザニンファイナンスなども含めて様々なファイナンスが利用されている一方で、デットファイナンスのうちのアセットファイナンスも一つの候補として考えられるところではありますが、まだ利用はあまり進んでいないのが現状のようです。

宇宙ビジネスにかかわるファイナンスについては、今後、どのようなものが主流になり、あるいは、どのようなものが開発されていくのか、これからも注目をしていきたいと思います。

 

どのような事業でも、何かを始めるには資金が必要ですので、その資金をどのように集めるかという問題は常につきまといます。

宇宙ビジネスや宇宙開発の分野では、いきおい技術的な部分の議論が注目を集めがちであるように思いますが、やはりお金の問題は避けては通れませんし、この分野の専門家の先生からお聴きした本日の調査報告はとても興味深いものでした。